都立中高一貫校への高い合格実績を誇る進学塾「ena」が2025年夏に実施した“22泊23日”の超長期合宿が波紋を呼んでいます。
富士山周辺で開催され、1日12時間の学習漬け、スマホ禁止という過酷な環境の中、塾内部では多数の講師や校長が退職していた事実が「週刊文春」の取材で明らかになりました。
当記事では、この合宿の詳細や、講師が大量退職する背景、企業側の見解などについて深掘りします。
22泊23日合宿の“異例”さと社内の緊張感
2025年8月2日から実施された進学塾enaの22泊23日合宿は、昨年の10泊11日から大幅に延長されたもので、スマホやテレビのない環境で1日12時間の学習が課される厳しい内容でした。
ena幹部は社内メールで「他塾が注目している」「失敗は許されない」といった檄文を送り、合宿に対する並々ならぬ決意を示していました。
これは単なる教育活動を超え、社内全体に異常な緊張感とプレッシャーを与えていたことがうかがえます。
引用:ena 公式サイト
合宿の裏で起きていた“講師大量退職”の実態
この合宿の裏で、進学塾enaでは驚くべき数の講師や校長が退職していました。
2025年3月から7月のわずか5カ月間で、個別指導部門では社員37人中13人(約3分の1)、集団指導部門では190校舎中15人の校長が退職または退職届を提出していたのです。
全体では45人以上が離職しており、「通常ではあり得ない時期の退職ラッシュ」と業界内でも波紋を呼んでいます。
受験が終わる2〜3月ではなく、最も重要な夏期直前というタイミングが問題視されています。
退職者が語る現場のリアル
2025年5月に退職した元校長は、「高額な授業料に見合った教育が提供できていない」と語っています。
実際、長時間労働や劣悪な労働環境により、特に女性講師の離職率が高いという声も。
スマホ禁止、テレビもない合宿生活の中で、生徒以上に講師の精神的・肉体的負担が大きかったとの証言もありました。
学究社の見解と説明責任
運営元である学究社は、大量退職について「例年ある程度の退職はある」とし、「女性社員の退職率が高いのは勤務時間が遅いため」と説明。
一方で、「確認できていない」「例年と変わらない」とする姿勢に対しては、現場との認識のズレを指摘する声も少なくありません。
特に230校舎中12名の校長が5月以降に退職したことについては、企業の管理体制や労働環境改善の必要性が問われています。

まとめ
進学塾enaの22泊23日合宿は、教育現場の限界と経営戦略のリスクを浮き彫りにしました。
生徒の成績向上を目指す一方で、講師やスタッフの労働環境への配慮が欠かせません。
今後、同様の長期合宿が継続されるのか、また人材の確保と定着にどう取り組むのか。
塾業界全体にも影響を及ぼす重要な転換点となるでしょう。
当記事は以上となります。
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