2024年1月の能登半島地震から2年近く。
被災地の輪島市(石川県)では、長らく地域に弁護士が不在という“司法サービスの空白”が続いていました。
しかし2025年11月25日、新たに「輪島ひまわり基金法律事務所」が開設。
震災以降、法的支援を求めていた住民にとって、待望の窓口が誕生しました。
住宅ローンや再建費用の借金による“2重ローン”問題をはじめ、法的な課題が山積する今、地域の再建を支える大きな1歩となります。
新たに開設された「輪島ひまわり基金法律事務所」とは?
「輪島ひまわり基金法律事務所」は、公益財団法人日本弁護士連合会が支援する「ひまわり基金法律事務所」の一環として設置されました。
この制度は、弁護士が不在の地域(いわゆる弁護士過疎地域)に、法律支援の拠点を設ける取り組みです。
輪島市では、能登半島地震の影響で法律事務所が閉鎖され、市内に再開可能な物件も限られていました。
そこで、金沢市から木造平屋のコンテナハウスを運び、仮設の法律事務所として整備。
開設初日の25日午前9時から、すでに電話での法律相談が相次いでいるとのことです。
※画像はイメージです。

地震後の法的課題
能登半島地震後、多くの被災者が抱える深刻な問題の1つが「2重ローン」です。
元々の住宅ローンに加え、家の再建や修繕のための新たな借金を背負うケースが多発。
これにより、生活再建が困難になり、債務整理や法的アドバイスを必要とする人が急増しています。
その他にも、地震による損壊保険請求、相続・遺言、仮設住宅の契約トラブル、公的支援制度の手続きなど、複雑な法律問題が住民を悩ませています。
こうした課題に対処するには、専門家による適切なサポートが欠かせません。
弁護士が1人だけだった奥能登
震災後の奥能登地域(珠洲市・輪島市・能登町・穴水町)では、弁護士が穴水町に1人いるのみという深刻な状況が続いていました。
これにより、多くの住民が法律相談を受けたくても物理的にアクセスできない、あるいは待機時間が長いという不便さに直面していました。
ひまわり基金法律事務所の開設により、こうした“司法アクセスの格差”が少しずつ是正されることが期待されます。
被災地の復興には、住まいやインフラと同様に「法的な土台」も重要なのです。
アクセス情報
・事務所名:輪島ひまわり基金法律事務所
・所在地:石川県輪島市河合町15部90番25
・開設日:2025年11月25日
・形態:木造平屋のコンテナハウスを活用
・相談受付:電話による相談対応を開始(今後、面談相談も予定)
・電話番号:0768-23-2126
・公式発表はこちら
ネット上での反応と声
ネット上では、多くの反応が寄せられています。
・「震災からずっと法的な相談先がなくて不安だった。ようやく頼れる場所ができた」
・「ローンや保険の相談がやっとできる。本当にありがたい」
・「迅速に対応してくれたひまわり基金に感謝」
・「仮設の事務所でも十分。まずは“ある”ことが大事」
一方で、
・「もっと広報してほしい」
・「予約が取りづらくならないか心配」
といった声もあり、継続的な情報発信と運営体制の強化が求められています。

まとめ
輪島市に開設されたひまわり基金法律事務所は、単なる法律相談窓口ではありません。
それは、被災した地域住民が未来へ進むための“よりどころ”であり、再建を後押しする社会インフラです。
復興には物理的な支援だけでなく、心の支えや制度の理解が不可欠です。
法の専門家による寄り添いが、被災者1人1人の人生の再スタートを支える――。
この法律事務所が、地域にとっての希望となることを心から願います。

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